7月3日の週報と説教要約

最初のしるしの意味

Meaning of the First Miracles 【ヨハネ2:1-11】 2022. 07.03(主日)

序論

 イエス様がガリラヤのカナの家での婚礼宴会で、最初のしるしを行った理由は何でしょうか。本文はキリスト教信者や、そうでない人々にまで良く知られている話です。また大よその聖徒たちは、本文の説教を聞いた事があるでしょう。今日はイエス様が最初のしるしである、水でぶどう酒を作られた奇跡を調べて見ながら、共に恵みを受けたいと思います。

 なぜイエス様は最初のしるしをカナで行われ、水でぶどう酒を作られたのでしょうか。なぜイエス様は最後の晩餐のぶどう酒で、新しい契約を結ばれたのでしょうか。なぜイエス様は十字架の上で酸いぶどう酒を受けられ、「完了した」と宣言されたのでしょうか。イエス様の受肉とぶどう酒、ユダヤ人たちの婚礼慣習とぶどう酒、イエス様の再臨とぶどう酒に対する説教をしようと思います。

1.受肉とぶどう酒

(1)受肉 四福音書に記されたイエス様のしるしは約50あります。所でヨハネの福音書にだけ記された奇跡がありますが、その中でも最初に出て来るしるしが、正に水で作られたぶどう酒のしるしです。ヨハネは御言葉なるイエス様が、人となって私たちの間に天幕を張られたと記しています(ヨハネ1:14、18)。

 イエス様は、レビ記23章に出て来る神の暦(カレンダー)に記されている通り、誕生からの御業と死と復活と昇天、そして聖霊を遣わされるまの全てを、神様の計画通りに成就されました。そして再臨される事でしょう。

(2)なぜ三日目なのか 創造の三日目は水の中にあった地が現れて来た日です。神様はこの三日目だけ、「神はそれを見て良しとされた。」と二度回せられています。それでユダヤ人たちはこの日は祝福された日だと考えました。暦の曜日は後に作られたのであり、偶像崇拝する者たちが作ったものです。ユダヤ人たちは第一日、第二日、第三日と言うように計算します。

(3)なぜカナで初めの奇跡を見せられたのか 「カナ」とは創造とか始まりと言う言葉です。イエス様は神様として、ご自分が創造主だと言う事実を最初に告げられたのです。ヘブル語の聖書の創造と言う言葉には、四つの単語が用いられています。

(1)バラー:無から有を創造する時のみの言葉です(創1:1)。

(2)アサー:創造された材料を使って製造する事を意味します(創1:31)。(3)バナー:建築する事を意味します(Ⅰ王6:1、9)。

(4)ヤチャール:インテリアと同じ意味です(創2:7)。

 例えば鉱山から鉄鉱石を掘り出し(バラー:神様が創造さ得た鉄鉱石)、それで鉄筋を作り(アサー)、鉄筋で家を建築し(バナー)、家に入って暮らす人がインテリア(ヤチャール)をしたと考えるなら、分かりやすいと思います。ぶどう酒のしるしはバラーとアサーの二つが用いられています。 イエス様が過越の祭の小羊として殺されたのも、正確に過越の祭に合わせられたと言う事です。過越の祭の小羊として殺される直前の日の夕方(ユダヤ人にとっては過越の祭の日)に、イエス様は弟子たちと最後の晩餐を召しあがられました。その時イエス様がぶどう酒を弟子たちに回されて、これは「わたしの血」であると言われました。

 このように見るとイエス様が3年6ヵ月間の、公生涯を始められる時もぶどう酒で始められ、終えられる時もぶどう酒で終えられたと言う事が出来るのです。

2.ユダヤ人たちの婚礼とぶどう酒

(1)ユダヤ人の婚礼慣習 聖書時代のユダヤ人の慣習を見ると、結婚する以前に婚約期間がありました。丁度ヨセフとマリヤに婚約期間があったようにあったのです。 一般的にユダヤ人の独身男性が、ユダヤ人の処女の未婚女性と結婚を願う時には、行うべきしきたりがあります。未婚の独身男性は父からお金を受け取って、未婚女性の家に行って何日間か宴会を催します。そして最後の日にぶどう酒を処女の女性に与えます。その女性がぶどう酒を受け取れば結婚が成立し、受け取らなければ結婚は成立しないのです。

(2)ぶどう酒と血(受肉の理由) イエス様が受肉された理由とは何でしょうか。普通はイエス様が人類の罪を贖って、救うために来られたと答えるでしょう。その通りです。しかしもう少し具体的に言うならば、イエス・キリストは花婿として、花嫁を得るために来られたと言う事が出来るでしょう。 それでパウロは使徒の自分自身は媒酌人であり、使徒たちは皆キリストと聖徒の媒酌人だと言っているのです(Ⅱコリント11:2)。 またパウロは「神がご自身の血をもって買い取られた神の教会」と言っています(使20:28)。ここで言われている神とは、三位一体の第二位格の神である、御子イエス・キリストの事です。

(3)最後の晩餐 最後の晩餐でイエス様がぶどう酒を、弟子たちにお与えになりました。弟子たちはぶどう酒を受け取って飲んだので、婚約が成立しました。所がイスカリオテ・ユダは、ぶどう酒を受け取ったのですが直ぐに外に出て行き、イエス様を裏切って敵に売り渡しました。彼は婚約期間を守らなかったのです。従ってぶどう酒、即ち、イエス様の血と結ばれなかったのです。彼は新しい戒め、即ち、血で結ぶ新しい契約から除外されてしまいました。イエス様が教会を花嫁として迎えるために、ぶどう酒を与えられました。このぶどう酒はイエス様の命を意味します。

3.イエス様の再臨とぶどう酒

(1)婚約期間 婚約期間は非常に重要です。イエス・キリストの初臨が婚約だとするなら、再臨は結婚に該当します。ユダヤ人たちの結婚式では、花婿はぶどう酒を受け取った花嫁のために、一度自分の父の家に帰って全ての婚礼準備をし、結婚式のためにもう一度花嫁を迎えに行きます。こうして花嫁を連れて花婿の家に行き、婚宴披露をするのです。イエス様は花嫁となった教会と、婚約した状態のまま父の家に行かれました。イエス様が父の家に行かれたのは、花嫁が住む場所を備えて下さるためです。

「あなたがたは心を騒がしてはなりません。神を信じ、またわたしを信じなさい。わたしの父の家には、住まいがたくさんあります。もしなかったら、あなたがたに言っておいたでしょう。あなたがたのために、わたしは場所を備えに行くのです。わたしが行って、あなたがたに場所を備えたら、また来て、あなたがたをわたしのもとに迎えます。わたしのいる所に、あなたがたをもおらせるためです。」(ヨハネ14:1-3)

 この御言葉の通りに、イエス様は小羊の花嫁のために、場所を備えるために天の父の家に行かれました。

(2)新しい契約の血 

「また杯を取り、感謝をささげて後、こう言って彼らにお与えになった。『みな、この杯から飲みなさい。これは、わたしの契約の血です。罪を赦すために多くの人のために流されるものです。ただ、言っておきます。わたしの父の御国で、あなたがたと新しく飲むその日までは、わたしはもはや、ぶどうの実で造った物を飲むことはありません。』」(マタイ26:27-29)

 イエス様は十字架上でも、ぶどう酒と関連した言葉を言われました。それは「完了した」と言う言葉です。熟成したぶどう酒、酸いぶどう酒、それ以上は熟成せずそれ以上発酵しないぶどう酒、完了したぶどう酒(ビネガー)です。イエス様がこのような酸いぶどう酒を受けられたと言う事は、何を意味しているのでしょうか。それは私たちの原罪と自犯罪の全てを、十字架の上で血を流されて死なれる事によって、完了されたと言う意味です。 イエス様が律法の要求も完了され、私たちの罪の問題も完全に終わらせて下さったのです。そのような意味で、イエス様が酸いぶどう酒を受けられたのです。決して麻酔として使って苦痛を和らげようと言う、そんな目的では絶対にありません。ですからイエス様は十字架上で、「完了した」と大声で叫んで息を引き取られたのです。

(3)再臨 イエス様は時が満ちると花嫁、即ち教会を連れにまた来られるのです。それを私たちは、イエス様の再臨と呼びます。

 その時、教会は空中でイエス様にお会いする事になるのです。イエス様は眠った者たちを連れて来られるでしょう。死んだ者たちを起こされる事でしょう。また生きている聖徒たちは突然、変化してイエス様をお迎えする事でしょう。このように全ての聖徒たちは、空中でイエス様に会う事になります。そしていつも主と共にいる事になるのです。花婿であられるイエス様がなさる婚宴は、花嫁である教会のための婚礼の宴会なのです。

結論

 今日は私たちが本当に良く知っている、ヨハネの福音書だけに記された、イエス様の最初のしるしについて説教しました。 イエス様の受肉、3年6カ月の公生涯の御業の初めと終わり、これら全てに於いてぶどう酒と関連しています。

 ユダヤ人たちの婚礼の慣習に従って、イエス様が働かれた内容も調べて見ました。やはりぶどう酒と関連のある婚礼を通して、花婿のイエス様が花嫁なる教会を得るために、この地に来られた事が分かります。 イエス様は再臨される前までは、「ぶどうの実で造った物を飲むことはありません」と言われました。イエス様が再臨され教会が携挙された後に、キリストのさばきの大きな白い御座を経て、花嫁として選ばれ定められた者たちだけが、婚礼の宴会に出席する事が出来、そして千年王国に入る事になるのです。

(1)イエス様の受肉とぶどう酒はどんな関係があるのですか。

(2)なぜカナで最初のしるしを見せられたのですか。

(3)ユダヤ人の婚礼慣習でぶどう酒はどのように使われるのですか。

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